今日のピックアップNYT記事:Ron DeSantis and the ‘Scaffle’ Vote
俺的記事まとめハイパー
(新潟の80歳母にもわかるよう、原文には無い補足を大量に盛っています。)
フロリダ知事のロン・デサンティスが、2024年の大統領選に向けて共和党候補指名に立候補を表明。大方の予想通り、ドナルド・トランプのライバルとして正式に名乗りをあげた形だ。どちらも保守強硬派のトランプとデサンティスだが、保守のレジェンドであるロナルド・レーガンが生きていたら、ふたりの共和党らしからぬ「左っぽい言動」に驚くことだろう。
デサンティスが開催した高級ホテルでの政治資金パーティーに対し、トランプは、庶民感覚を全くわかっていない金持ちエリートの発想、と非難。デサンティスはデサンティスで、お膝元フロリダ(全米で2番目に高齢者が多い州)で処方医薬品の個人負担を軽減する法案を通すなど、庶民の味方的な姿勢を見せ、家計よりも企業優遇の共和党はどこへいった?と思わせる。
これまでの選挙結果を見ると、共和党支持層(保守)と民主党支持層(リベラル)には、はっきりとしたパターンがある。
民主党支持:社会保障、政府による富の分配を良しとする「経済的リベラル」を志向。平等と多様性を重んじる「社会的リベラル」でもある。中絶賛成、マイノリティの権利保護に積極的
共和党支持:社会保障に消極的、自由競争よる国力増強を目指す「経済的保守」を志向。多様性よりも伝統的な価値観を重視する「社会的保守」でもある。中絶反対、LGBTQに不寛容
上記2つのパターンのいずれかに当てはまる有権者は、どちらの党にとっても「確実な票」となる。勝敗を分ける浮動層となるのが、「社会的に保守」かつ「経済的にリベラル」という交差グループだ。ここを押さえておくと、24年の大統領選挙戦の要がよくわかるだろう。ちなみに、「社会的にリベラル、経済的に保守」という交差グループも存在するが、これはアメリカの今の政治では圧倒的に少数派だ。
「社会的保守、経済的リベラル」の交差層は、もともと保守が強い州でも、最低賃金の引き上げ、医療保障の拡大など、社会主義的な動きを推進している。不法移民に対する共和党の厳しいスタンスに賛成なのもこの層だ。
もちろん、社会的な「保守」と「リベラル」はきれいに線引きできるものではない。たとえば、アメリカ人の大部分はトランスジェンダーへの差別に反対しており、保守派が反対する「性転換の自由」と差別は別問題、と考える人は多いだろう。中絶禁止への動きが右に寄りすぎと感じている共和党支持者もいるだろうし、同じく社会主義に寄りすぎの言説も、民主党にとっては浮動票を逃す原因となる。
しかし、世論の微妙な差異を大局的な視点と取り違えてはならない。デサンティスとトランプは、共和党の従来的な経済的保守がウィークポイントであることを良く理解しており、この点をカバーするために、彼らはポピュリスト発言を繰り返している。ふたりが「社会的保守」を強調するとき、もともと確実な票田だけでなく、浮動層の取り込みをも狙っているのである。
俺的コメント
新潟の母よ、北米社会の「経済的保守」について説明します。ヨーロッパの階級社会から新天地に移民してきた清教徒たちは、頑張れば頑張っただけ報われる自由な社会を作ったのです。その子孫である白人の中高年は、「働かざるもの食うべからず」という価値観の親に育てられており、勤勉実直です。それはいいんですが、生活保護受給者=怠け者の負け組、みたいな固定観念を持っていたりします。まじめに働いてきたおじさんたちは、俺の暮らし向きが良いのは俺が頑張った結果である、という自負がすごくあるのです。実際には、白人男性に生まれただけでガチャに当たってるんですが、そのへんに気づくだけの知性がないというか。
頑張った人が報われる社会が平等と思っているおじさんたちは、政府による「富の分配」は不公平だと思っています。貧しい人を教会が救ってやるのはいいけど、自分が収めた税金で至れり尽くせり養ってやるのは反対。福祉は教会の仕事と思っているあたり、社会的な価値観もだいたい親の世代のコピーなのです。この記事にある典型的な「経済的保守、社会的保守」ですね。
母よ、あなたもご存知の某おっさんは、この記事によると珍種である「経済的保守」と「社会的リベラル」の交差です。親の世代は見事に保守・保守ですが、その子がなぜ保守・リベラルの交差になったかというと、「職場に白人(男性)以外の人がいっぱいいた」からみたいです。上司が女性だったり、同僚が「英語が超へたくそだけど超頭いい中国人」だったり、親が嫌悪していたゲイも移民も、つきあってみれば良い人ばっかりだった、ということを職場で経験した結果、社会的リベラルになったのです。
ちなみに、このおっさんは4年制の大学には行ってません。もし大学に行っていたら、学生時代にサヨクに洗脳されて、経済的にも社会的にもリベラルになったことでしょう。ここでのポイントは、4年制の大学に行っていないのに、女上司やゲイの同僚がいるような「リベラルな職場」に就職した、という点です。いったん高卒で社会に出てから、やっぱり高卒よりも稼げる仕事につこうと一念発起してカレッジ(2年制)に入り直しホワイト企業の仕事をゲットした、という経緯があるので、「自分はものすごく頑張った」という自負があり、「頑張った人が裕福になる社会こそ平等」「収入が低いのは自己責任」という経済的保守のままなのです。
さて、本日の記事に戻りますと、次のアメリカ大統領選挙は、「経済的リベラル」と「社会的保守」の交差層を制する者が勝つと。逆交差の珍種から見ると、他人様の稼ぎを当てにして生きるくせに他人様の事情(中絶やら性自認やら)に不寛容という、一番しょーもない層じゃないか、となるらしいです。それちょっと違うような気がするんですが、続きはCMのあと!
