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富裕税が暴いた民主党の矛盾 シリコンバレー vs ロー・カンナ

今日のピックアップNYT記事:Silicon Valley Plots Against Ro Khanna After His Support for a Wealth Tax

シリコンバレー選出の民主党下院議員ロー・カンナは、テック業界寄りの姿勢と、バーニー・サンダース系の進歩主義を同時に支持するという、きわめて難しいバランスを保ってきた。その均衡が崩れ始めている。

発端は、カリフォルニア州で検討されている「単発の富裕税」構想だ。これは、資産10億ドル超の住民に対し、5年間で5%を課税するという内容で、医療など公共サービスの財源確保を目的としている。カンナ議員はこの構想を支持し、富裕層が「州外に逃げる」と反発していることに対して、ルーズベルト大統領の言葉を引き合いに皮肉なコメントをSNSに投稿。この発言が、一部の億万長者やテック経営者の怒りを買った。

これを受け、シリコンバレーの富裕層の一部は、カンナ議員に対抗する候補者を擁立できないか水面下で動き始めている。ただし、彼の再選基盤は強固だ。2024年選挙では楽勝し、南アジア系コミュニティからの支持も厚い。選挙資金も約1500万ドルを保有しており、仮にテック富豪が支援する対立候補が出ても、簡単に対抗できる状況ではない。

それでも反カンナの動きは象徴的だ。背景には、テック業界と民主党、とりわけ進歩派との関係悪化がある。この対立は、カンナ議員の政治的経歴を考えると皮肉でもある。かつてはテック企業の弁護士として活動し、業界大物の支持を受けて政界入りした人物だからだ。しかし近年、テック業界の一部有力層が右寄りの姿勢を強める中で、カンナ議員への反発は表立って語られるようになってきた。

ただし、カンナに代わる候補者探しは難航している。サンノゼ市長マット・メイハンや他の民主党政治家にも声がかかったが、いずれも出馬を拒否した。結果として、テック富豪の多くは、カンナ打倒よりも富裕税そのものを阻止する運動に力を注ぎ始めている。

この対立は、カンナにとって逆に追い風になる可能性もある。彼は「億万長者たちが対抗馬に資金提供しようとしている」と訴え、小口献金を呼びかけている。サンダース陣営の共同議長を務め、”Progressive Capitalism” (進歩的資本主義) の著者でもある彼にとって、テック富豪との対決は、左派有権者へのアピールになりうるからだ。

しかし、テック業界側は冷ややかだ。YC創業者のポール・グレアムは、「カンナは自分が踏んだ地雷の大きさを理解していないのでは」と語り、事態の深刻さを示唆している。

俺的コメント

民主党基盤、カリフォルニア州の矛盾が露出した件。ロー・カンナはテックマネーと仲良しで、しかもサンダース系の革新(社会主義寄り)という、本来なら両立しないポジションの人。カリフォルニア知事ニューサムも反対している富裕税を推進していると。

文中、カンナがルーズベルトの言葉を引用してテック富豪らが逆切れした件が言及されています。ルーズベルトは30年代のニューディール政策で富裕層への増税を推進、大企業・大富豪に嫌われました。ルーズベルトは「貴族が怒るなら私は正しい方向に向かっている」という趣旨の発言をして、カンナ氏はこれを引き合いに出したと。テック側からすると、「1930年の悪役ポジションに置かれた」わけで、そりゃ~ムカつくでしょう。

テックで働き、テックのお金で暮らしてきた人間としては、富裕税反対=貪欲なアッパークラスが富を独占したがっているようにしか見えないのは、テックにとっても良くない話だと思います。なぜ、「俺たち儲けすぎた、社会に還元しよう」という発想にならないのか。

実際、5年で5%なんて、大富豪にしたら痛くも痒くもないのでは。それでも頑なに拒否するのは、貪欲というよりは「俺が儲けた金の使い道をお上に口出しされたくない」という意識が強すぎるのでしょう。国家というレガシーシステムよりも、俺たち技術者のほうが良いやり方を知っていると。

テックが大好きなイノベーションの物語は、公共性を引き受けた瞬間にこそ説得力を持つのに、そこわかってないテックが多いのは残念すぎる。



About Me

新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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