3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


カンザスの奇跡:ローラ・ケリーという中道の戦略家

今日のピックアップNYT記事:There Is Hope for Democrats. Look to Kansas

「これからの民主党は、どうあるべきなのか?」全米の民主党員が苦慮するなか、カンザス州に静かに輝く星がいる。ローラ・ケリー、75歳。共和党が圧倒的に強い保守州カンザスで、民主党の知事として2期連続で勝利した稀有な存在だ。

かつて共和党のサム・ブラウンバック前知事が推し進めた極端な減税政策で、カンザス州は財政破綻寸前に陥った。その惨状を修復すべく、ケリーは2018年に「政府に安定を取り戻す」という現実路線で初当選。以来、教育予算の回復、パナソニック工場の誘致、州経済の立て直しなど、暮らしに直結する身近な課題に集中する政治を貫いてきた。

彼女の魅力は、「社会的リベラル×経済的中道」の絶妙なバランス感覚にある。中絶の権利やLGBTQ+保護には明確に賛成しつつも、それを声高に叫ばず、選挙戦ではあえて前面に出さない。共和党が多数を占める議会との対立では、時に法案に署名せず静かに通過させ、時に毅然と拒否権を行使するなど、おばあちゃんの顔をした戦略家として高く評価されている。

注目すべきは、ケリーが「反トランプ」でも「急進左派」でもない点だ。例えば彼女はサンクチュアリ・シティ(移民保護都市)を禁じる法案を支持し、時に穏健派共和党候補を支援するPAC(政治行動委員会)も立ち上げている。こうした柔軟性が、党派性にうんざりした有権者に「この人はカンザスの人」として自然に受け入れられる理由だ。

民主党は今、「都市部リベラル」のイメージに苦しみ、地方での支持拡大に苦戦している。そんな中、ケリーのように「地元の空気を読み、信念を曲げず、でも強調しすぎない」というスタイルは、民主党再生のヒントを与えてくれる。「自分はすべての政策で民主党と一致しないけれど、地元民の生活を良くするために働いている」。その誠実な政治姿勢が、多くの無党派層に届いているのだ。

彼女自身は大統領を目指すことはないが、その政治スタイルは多くの中道派候補にとって理想的なモデルケースとなるだろう。党派の看板ではなく、実行力と人柄で票を取る。そんな地元愛の政治家こそ、分断の時代に必要とされている。

俺的コメント

カンザス知事の「おばあちゃんの知恵」を全国の民主党員が見習うべき、という記事。カンザス州は、知事が民主党で議会が共和党過半数の分裂政府。「民主党=都市部で強い、地方で負ける状態をどう覆すか?」という問いに対して、「共和党優位な地元で勝ち、折り合いながら実績を出す」というケリー知事の例は、示唆に富むモデルケース。

このばあさん、かっこよすぎるわ。信念はあるが自己主張しすぎず、引き時はちゃんと心得ていて、党派を超えて地元民の声はきちんと耳を傾ける。勝ち目がない法案は署名せずに黙って通し、「賛成はしてませんからね」というポジションだけは記録に残す。これぞ「雨ニモ負ケズ」の宮沢賢治的リベラルだ…決して驕らずいつも静かに笑いながらケンカはつまらないからやめろという政治家!

「文化戦争には立場だけ表明して、あとは参加しない」って、現代政治の最高のサバイバル術かもしれませんね。敵と渡り合いながら実績を上げるには、全面戦争よりも智略でございますな婆様。実際、売られたケンカを買うほどに相手の思うツボにはまるっけね。炎上を煽ると票につながると学んでしまった過激派が、統治能力もないのに世界中で権力を握ろうとしてるの怖すぎるんだけど。

文化戦争を炎上させずに、かまどでゆっくりまったり炊く感じにするには?これから大統領をめざす民主党政治家の皆さまには、是非ともケリーばあちゃんの知恵から学んで欲しい。



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新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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