今日のピックアップNYT記事:Peter Thiel and the Antichrist
俺的記事まとめ
ピーター・ティールは、現代は「技術的停滞」の時代にあると主張する。18~20世紀前半の猛烈な進歩(交通・エネルギー・宇宙など)と比べ、1970年以降、技術革新は「ビットの世界」に偏り、物理的世界(医療、エネルギー、輸送)の進歩は著しく鈍化したという。AIやクリプトといった最近の技術は大きな例外だが、停滞全体を覆すには至っていないという。
停滞の原因としてティールは、「リスク回避的な文化」と「制度の劣化」、そして「人々が未来に対して抱く恐れ(環境破壊や核戦争)」を挙げる。特に中間層の未来への期待(子が自分たちより豊かになる)が崩れつつあることは、民主主義的社会の土台そのものが揺らいでいる証拠だと警鐘を鳴らす。
では、停滞を脱するために何をすべきか?ティールは「もっとリスクを取れ」と促す。医療分野(特に認知症治療など)では進展がなく、現状維持が制度化された状態だと批判。AIは現時点で唯一の希望的領域だが、「AI以外に何もない」という現状が、停滞の深刻さを物語っている、とティール。
政治的には、ティールはトランプ支持の理由を「停滞の認識を共有する唯一の政治家だったから」と語る。トランプにより、少なくとも「我々は衰退しているのでは?」という議論が可能になり、それは前進だったと評価する。ただし、トランプが「実際に何かを変えられたか」には懐疑的。政治投資を「有害で毒性の強いゲーム」とも呼び、自身も距離を取りつつある。
AIやトランスヒューマニズムに対しては、「野心が足りない」という。身体や寿命の拡張がかつての科学の夢だったのに、今や「頭だけ冷凍保存」「デジタル化で不死」など小粒な野望に堕していると嘆く。信仰的な観点からも、「人間の変容」は肉体だけでなく魂の変容を伴うべきであり、現代の科学者たちはそこにまで野望を持たないと批判する。
そして最大の懸念は、「安全と平和」の名のもとに支配が正当化される未来だ。すなわち、環境リスクやAIの暴走に対する恐怖を口実に、一元的な国際規制機構=事実上の「世界政府」が誕生し、グローバル停滞を制度化するというシナリオだ。ティールはこのような状態を、「穏やかな反キリスト支配」と呼び、むしろ「破滅的だが進歩の芽を含む危機」を選ぶべきだと語る。
最後にティールは「神が歴史をどう導くか」に問われ、「神は全てをコントロールしているわけではなく、人間の自由な行動に可能性がある」と語る。ゆえに私たちは希望を捨てず、自らの自由意志で反停滞の未来を切り拓かねばならないのだ。
俺的コメント
実は密かに楽しみにしている右翼対談、今回はピーター・ティールの出番。この方、死んだら未来に生き返るべく、人体冷凍保存の団体に登録しているそうです。
ピーター・ティールにかかると、「不老不死が実現されていない = 技術は停滞している」ってことになるらしいです。NYTのコメント欄、「もう笑うしかない」って感じ。「謎に自信満々で話がクソつまらない親戚のおじさんみたい」とか「土曜の深夜に学生寮で薬物やりすぎた大学生の会話?」とか、秀逸な例えが並んでいます。
制度とか国家とか大嫌いなリバタリアン代表のティール。環境破壊がこれ以上進まないように世界的な合意を目指そう、AIが悪用されないようにみんなで規制の方針を決めていこう、こういう考え方は「危険思想」なんだそうです。その危険思想の権化が「グレタさん」で、彼女はティールに「アンチクライスト」認定されています。アンチクライストは、キリスト教徒にとっての最大の敵、救世主のフリをした悪魔ってことね。
ティールが神を語る様子は、珍奇すぎて博物館に展示する価値はある(博物館ていうか、見せ物小屋がいいかも😂)。いやもう、つくづく人間は自分の都合の良いように聖書を解釈する生き物だと思い知らされます。要は「自分の信仰とぶつかる正義の人」=アンチクライスト、ってことね。これ、「俺こそが神である」って言ってません?なんちゅう恐れ多い、どっちがアンチクライストやねん!
「頭だけ冷凍して未来で自分を再起動」とか、漫画「ブラック・ジャック」もびっくりの技術妄想がとまらないティール、「不老不死になりたい」っていうより「ならねばならぬ」くらいの勢い。それってもう天国に行かなくてもオッケーということよね?なぜそれでもキリスト教徒の看板をおろさないのか心から不思議です。神様にしてみれば、「お前、そこまでして天国に来たくないのかい」って感じではないでしょうか。
トランスヒューマニズムとかリバタリアンの矛盾とか、書き足りないので続きはNoteで!!
