今日のピックアップNYT記事:The Techno-Utopians Who Want to Colonize the Sea
俺的記事まとめ
ドイツ人エンジニアのリュディガー・コッホ氏(59)は、パナマ沖に設置された「SeaPod Alpha Deep」という海中居住施設で120日間生活し、「水中に固定された構造物における滞在最長記録」を更新した。居住空間は海面下11メートル、面積は約28平方メートル。インターネットにエクササイズバイク完備、食事や酒も良し、葉巻もあり、トイレが微妙な点を除けば、快適な空間だったという。
この海中ポッドは、Ocean Buildersという企業によって開発された。ビットコイン信者のアメリカ人、カナダ人起業家、そしてコッホ氏の3人によって設立され、現在はパナマのリントン湾沖に3棟のプロトタイプを保持している。同社は「環境再生型の住居」を掲げている。
コッホ氏らは「政治的に自律した海上共同体」を目指す Seasteading Institute (ピーター・ティールが出資)を通じて知り合った。2019年には、タイ沖に設置したSeaPodで生活を始めたが、「国家の主権を脅かす」としてタイ当局から摘発を受けた。独立国を立ち上げようとしているのではないと主張したが、国外逃亡を余儀なくされた。
パンデミック時には、中古のクルーズ船を買い取り、パナマ沖で海上生活を送ろうとしたが、法律とコストの問題があり計画は頓挫。「ビットコイン成金の海上ユートピア、あっという間に転覆」と報道された。
Ocean Builders は「これはイデオロギーではなくライフスタイルビジネスだ」と強調しているが、過去の騒動や創業者たちの言動からは、政府の干渉を受けず自由に生きることを理想とするリバタリアン思想が感じられる。
今回、コッホ氏の挑戦は大きなメディアの注目を集め、Ocean Buildersのプロモーションとしても成功を収めた。コッホ氏は「金持ちの道楽と思われるかもしれないが、そうではない」という。現在、同社はモルディブでの海上都市プロジェクトの一環として、20棟のSeaPod建設契約を獲得している。
水中での生活を振り返りながら、コッホ氏は「静寂と騒音」が同居する「夢のような世界」について語った(騒音は、ポッドの外で甲殻類がハサミを打ち鳴らしたりする音)。「海中で繰り広げられる進化のドラマの音に聴き入っいてた。自分はエンジニアだからうまく伝えられない。詩人を住まわせるべきだった」という。
俺的コメント
政府の干渉を受けない生活を理想とするリバタリアン。近年、なにかとポピュリストが自由自由と騒いでいるので、「リバタリアン思想とはなんぞや」に思いを巡らせています。先月読んだ The Great Alone という小説は、政府に幻滅し、自由を求めてアラスカに移住したベトナム帰還兵リバタリアンの話でした。アラスカならまだ話はわかります。海中生活を送るおじ様、果たしてそこに自由はあるのでしょうか?
海中おじさんたちは、ピーター・ティールが出資した団体で出会ったと書いてありますね。ピーター・ティールといえば、火星移住とか暗号通貨とか、国家からの脱出プランが大好きで、テック業界・陰謀論・右翼政治と一直線に繋がってる影の大御所ではないですか。若返り研究が大好きで、その正体は若者の血を飲む吸血鬼という噂まであるという…なんか人相を見ても人間っぽくないし、「民主主義は効率悪い」発言も、本当に人間ですか?と思わせます。
やたら宇宙に行きたがる大金持ちも、実はみんなリバタリアン魔王ティールにつながっているという噂。個人的には、イーロンおじさんはじめ、テック成金たちはみんなで火星とか海底とかに引っ越してくれても全然かまわないですが、宇宙にも海底にも行けない、クリプト失敗して素寒貧になった普通の人たちが、「俺たちの声をイーロンは聞いてくれてる」とか成金たちを応援しているの見ると、ほんと涙出るわ…
