今日のピックアップNYT記事：Research Finds Vaccines Are Not Behind the Rise in Autism. So What Is?
俺的記事まとめ
自閉症の子供が増えている。11の州のデータを元にした報告によると、2000年には150人に1人だった自閉症児の数は、36人に1人まで増えており、その原因は科学的に解明されていない。自閉症かどうかは血液検査や脳スキャンでわかるものではなく、臨床的な観察でしか診断ができない。
昔に比べて、本当に自閉症が増えているのか？それとも、診断されるケースが増えているだけなのか？そのどちらも当てはまるようだが、正確なことはわかっていない。100以上の遺伝子が自閉症と関連づけられているが、遺伝的な要因と環境的なトリガーが複雑に絡んでいるという。
自閉症の潜在的なトリガーとしては、環境汚染、有害物質への曝露、妊娠期における感染症などが研究されている。また、高齢の両親、特に高齢の父親から生まれた子供は自閉症のリスクが高いという研究、未熟児や低体重児に自閉症が発生する傾向なども報告されている。子供を持つ年齢の高齢化や未熟児の生存率向上などが、自閉症の増加に関係している可能性はある。
しかし自閉症の潜在的な原因を調べるには、幼児期から成人期に至るまでの大掛かりで複雑な対照追跡が必要となる。統計的な確実性を求めようにも現実的に無理があり、「科学的に不明」なゆえに憶測の余地ができてしまう。
予防接種（ワクチン）が自閉症の原因ではないかという説も、そうした憶測の一つである。1990年にアンドリュー・ウェイクフィールドが発表したこの説は、その後科学的に根拠がないと証明された。ウェイクフィールドは論文を取り下げられ、医師免許も剥奪されたが、この仮説は社会に根強く生き残ることになった。
ひとつだけ明らかなのは、診断基準の拡大だ。自閉症と判断される基準や年齢は年々改訂され、より幅広いケースが自閉症として認識されるようになった。
自閉症を診断する臨床プロセスの進化とともに、社会的なインフラも成長した。90年代には、自閉症の診断を受けた子供が学校で特別支援を受けられるようになり、親が診断を求めるインセンティブとなった。2007年、アメリカ小児学会はすべての子供が生後18ヶ月から24ヶ月の間に自閉症スクリーニングを受けることを奨励、診断の急増につながったと専門家は見ている。
一般的にも自閉症に対する意識が高まり、大人になってからはじめて診断を受ける人も増えた。また、SNSの普及とともに、自分または自分の子供が自閉症ではないか？と疑っている人々が情報交換をする場所ができ、より多くの人が診断を受けるようになったと思われる。
自閉症診断ツールを開発しているある専門家は、こうした背景を考慮しても近年の増加数は説明できない、と頭をひねる。ただし、「ワクチンが原因でないことだけは確か」だという。
俺的コメント
なんで今この記事かというと、第二次トランプ政権で保健福祉を任されるロバート・ケネディ・ジュニアが、ワクチン打つと自閉症になる、と言っているからです。NYT的には、自閉症について一度おさらいしとかねば、というところでしょう。
自閉症含む発達障害は、多様性のひとつとして受け入れましょう、という考え方が現時点の社会的合意であります。ああそれなのに、「子供の自閉症を受け入れられない無知で偏狭な親」がワクチンに怒りの矛先を向け、科学的根拠のないフェイクを拡散しておる、とサヨクさんたち。
しかし右翼と自閉症の関係は、もっとぶっ飛んでいるらしいよ。この記事読んで驚愕しました。一部の極右によると、天才的な能力を発揮するAapie（アスぺルガー）は人類の優生種であり、アスぺとアルファ雄こそ判断力に優れ社会のリーダーにふさわしいのである、だそうで。（アルファ雄＝ケンカ強いボスザル的オスのこと。）で、この説にイーロン・マスクが頷いちゃってるんだって。彼はアスペルガーだし、男性ホルモン過多のボスザルにくっついて政治を動かしていくそうですから、さもありなんって感じ。だったら、皆でワクチン打ちまくって、イーロンみたいな頭の良い男の子を産もう！とならないんですかね、その他の右翼の皆さんは？
Independentの記事によると、性転換する人には自閉症の割合が多いそうです。こっちの現象は、右翼にかかると「自閉症の人は洗脳されやすいので、間違って性転換しないようジェンダー治療を制限すべき」ってなるんだってよ。をいをい、洗脳されやすいんだと？「判断力に優れ社会のリーダーに相応しい」んじゃなかったのかい….？
自閉症をめぐる右翼のご都合主義の言説には、矛盾をものともしない幅広いスペクトラムが認められるのでした。
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