3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


脱プラスチックに抵抗する業界団体の広報作戦

今日のピックアップNYT記事:Inside the Plastic Industry’s Battle to Win Over Hearts and Minds

環境に配慮し脱プラスチック意識が高まる中、プラスチック製造業界では密かに抵抗キャンペーンを続けている。その実情がリーク文書から明らかになった。

NAPCORと呼ばれる業界団体には、ペットボトルなどのプラスチック容器を生産する大手企業が名前を連ねている。NAPCORでは、「リサイクル運動を推進し、プラスチックを環境の中に排出しないこと」が団体の趣旨であるとしているが、プラスチック容器の生産を制限し、環境汚染の原因を元から絶つというアプローチには強く反対している。

今年の春、NAPCORでは「チワワのマディとレミィ」で知られる人気インフルエンサーのアカウントで “Positively PET” と銘打ったキャンペーンを展開、ペットボトルの使用を推奨するメッセージを発信した。

「今日は公園にピクニックに行きます。わんこたちの水分補給はとても大切なので、たっぷり水を持って。いつも100%リサイクルが可能なペットボトルを選んでいます。」

このPR投稿では、ペットボトルが「ゼロウェイスト(ごみが出ない)」「クローズドシステム(環境に排出されない)」であると発信しているが、実際には米国におけるペットボトルのリサイクル率は過去10年ほど3割以下に停滞、大部分はごみとして環境中に放置されている。

リークされた文書によると、インフルエンサー自身の視点としてメッセージが伝わるよう、NAPCORは業界関係者がエンゲージ(いいねやコメント)しないよう指示、意図的にNAPCORとインフルエンサーの関係を隠している。

使い捨てプラスチック不使用を宣言したオリンピック・パリ大会では、#Olympicのハッシュタグとともに「ペットボトルは使い捨てではない」「禁止ではなくリサイクルこそプラごみ削減の道」などのメッセージを投稿する「話題乗っ取り戦略」も計画された。

さらに、NAPCORは、PBS(公共放送サービス)で配信される番組のホストに働きかけ、「ペットボトルは人類最大の発明」という意見をPBS独自の視点であるかのように見せかけている。

環境問題の深刻化に伴い、石油化学業界の広報活動には精査の目が向けられるようになっている。カリフォルニア州では、長期に渡りリサイクルの約束を誇大宣伝しプラスチック汚染を悪化させたとして、石油大手エクソンモービル社を相手取り訴訟を起こしている。

11月、プラスチックごみ汚染に関する国際条約に向けた会合が韓国で開催される。この話し合いに先立ち、欧米の議会では、プラスチック産業の現状維持により経済的恩恵を受ける団体の影響力に注意を向けるよう、各国のリーダーに呼びかけている。

俺的コメント

アメリカの次の大統領は化石燃料ダイスキ爺さんに決定し、ペットボトル業界はさぞかしウハウハしていることでしょう。

それにしても、なぜ提携先がチワワインフルエンサー?犬猫の方の「ペット」業界がスポンサーだと勘違いさせたいのでは?と勘繰りたくもなりますが。こんな手を考えるのは広報の専門家に違いない。記事にはNAPCORの広報を請け負ったという会社のコメントにも言及してあり、オリンピックのコンテンツとかウチでやった仕事じゃないし、インフルエンサーとの関係を隠せなんていう指導もしておりません、だそうで。さすが保身のスペシャリスト広報屋!

広告業界では、オーセンティック(純粋)という言葉がよく使われます。authentic content marketing なんちゅー言葉もあって、純粋に心に訴えるコンテンツで消費者の心を掴むやり方です。例えば、「泣けるCM」で検索すると出てくるやつ、東京ガスのCMとか。

環境のことを考えよう、というメッセージ自体は、企業として純粋な気持ちでもあることでしょう。しかし心理操作のプロの手にかかると、プラごみ汚染の元凶が「環境保護団体でございます」みたいな顔して無邪気な犬猫コミュに近づき、「ペットボトルって環境にいいんだ!」とか言い出す人が増えるという仕組み。純粋どころか詐欺じゃないの。とりあえず、SNSはカワユイ犬猫の姿を借りた提灯持ちコンテンツに溢れていると覚えておこう。



About Me

新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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