3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


大統領選挙の結果次第で国を捨てるのは倫理にもとるでしょうか?

今日のピックアップNYT記事:Is It OK to Leave the U.S. if the Wrong Candidate Becomes President?

相談者:
友人がEUのパスポートを取るために、欧州に家を買いました。もし大統領選挙の結果が恐れていた結果になったら、欧州に引っ越すそうです。

私も友人も、「あの候補者」が勝ったら、米国は独裁政治の国になってしまうと確信しています。私たちは移民ではない白人、高学歴アッパーミドルクラス、コネもあり経済的にも安定しています。平たくいうと、選挙の結果がどうなろうと、あまり困ることはない「恵まれた層」のアメリカ人です。私たちのような人間には、国にとどまり独裁者に抑圧されるであろう人々を助ける義務があるでしょうか?それとも、国を捨てることは倫理的に問題はないのでしょうか。

倫理学者の回答:
愛国心とは家族愛のようなもの。母親がアル中だったり息子が殺人犯だったりしても家族であることに変わりはありません。それと一緒で、祖国は祖国であり、国の名の下に何が行われていても自分の国であるという事実は変わりません。これは国が何をしても口を挟まないということではなく、愛国心とは、国がなすべきことを支援するということです。アル中の母や殺人犯の息子に対しても同じことが言えます。

愛国心のある人間は、国のなすこと、同国人のなすことに誇りや恥を感じます。また、国の命運に対して共同責任を感じることも愛国心の表れです。間違った方向に進もうとしている国から去るという選択は、共同責任を放棄すること、より良い国を作ろうという意志の放棄です。

愛国心は素晴らしいものですが、自己犠牲を払うことは義務ではありません。この国での生活が耐え難くなるのであれば、あなたが国を離れてもそれは倫理にもとる行為ではありません。ただし、倫理的に「称賛に値する」行為でもありません。

私はガーナの軍事政権下で育ち、父は政治犯として投獄されていました。個人的に、独裁国家が台頭する気配を感知できると自負していますが、アメリカが独裁国家になるだろうという予想には同意しません。しかし、もし私が今のあなたのように感じているとしたら、愛国者として国にとどまり、厄災から国を立ち直らせようとする人々と力を合わせていくでしょう。

俺的コメント

良心のお悩みに専門家が答えるコラムです。「息子にギャンブル癖があることを息子のパートナーに伝えるべきか」といった発言小町的な悩みから、愛国心とは何ぞや、という深遠な話題まで色々扱っています。

今回のコラムには結構な数のコメントがついていますが、回答者に賛同する意見はあまりないみたいですね。トランプが勝ったらヨーロッパかカナダに引っ越す、もう引っ越した、という人がかなりいます。面白いのは、愛国者として国に留まると宣言している少数派が、難民・移民アメリカンであるという点。アメリカ的自由の尊さを知っているからこそ、自由のために戦うぞ!ということらしい。その点、生まれた時から特権階級で選挙の結果次第で外国に逃げよっかな~と言ってる相談者みたいなヒトは、「大雨が降って周りがずぶ濡れになっている中、レインコート着て傘さしてる人間が濡れたらヤダな~ってボヤいてるみたいで気分悪い」と評されています。言い得て妙ですな。

言い得て妙といえば、祖国の情勢を嫌って外国に引っ越すことが「倫理的に称賛に値しない」ならば、移民が建国したアメリカは「倫理的に称賛に値しない人間の集合体」じゃねえか、という指摘。全くもってその通りでございます。



About Me

新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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