今日のピックアップNYT記事:The Year American Jews Woke Up
俺的記事まとめ
2023年10月7日以前。アメリカに住むユダヤ人は、この国に反ユダヤ主義があるという事実を忘れかけていた。しかし昨年のハマス急襲の日を境に、アメリカのユダヤ人を取り巻く空気は一変する。
あの日以来、同僚や知人との関わりの中で、子供が通う学校で、ユダヤ系アメリカ人は差別を肌で感じるようになった。2023年、ユダヤ人をターゲットにした嫌がらせや脅迫の件数は、2013年から1000%増加した。各所で吹き出す反ユダヤ感情に触れ、我々は「アメリカにおけるユダヤ人差別の終焉」という平和な夢から醒めることになる。
「10月8日のユダヤ人」は、ユダヤ人差別に対する同情は期待できないという事実に気づく。アメリカの歴史において、ユダヤ人は常に社会的弱者の味方であり続けた。労働運動、女性解放、ゲイの権利運動などにおいて、弱者と共に戦った著名ユダヤ人は数えきれない。しかし、いざユダヤ人差別を目の当たりにしても、これまで共闘してきた人々がユダヤ人に寄り添ってくれることはない。大学キャンパスではユダヤ人学生が攻撃され、人権団体は10月7日のユダヤ人殺戮から目を逸らし、中東とは何の関係もない団体がユダヤ人国家の存在を否定する。
何世紀にも渡り、その時々の権威が悪とみなす存在とユダヤ人は抱き合わせにされてきた。現在のアメリカにおいては、右派が陰謀論と排他主義、左派が抑圧者VS被抑圧者という世界観を軸に政治を進め、どちらのイデオロギーも典型的なユダヤ人差別と関わりが深い。教育レベルの高い人々は偏見とは無縁なはず、という考え方も幻想だったとわかる。偏見は知性の欠如ではなくモラルの欠如であり、知識人の偏見ほど危険なものはない。
しかし私は、アメリカは大丈夫、という幻想を捨てきれずにいる。ジョー・バイデンがイスラエル国家を認める最後の大統領にはならないと信じたい。共和党は反ユダヤ主義を再燃させるポピュリズムから脱却すると信じたい。若い世代は大人になれば過激な反イスラエル主義を考え直すと信じたい。アメリカはモラルと常識を失ってはいないと信じたい。
ユダヤ系アメリカ人はこれからどうすべきなのか。ユダヤ人に害をなす団体への寄付をやめ、訴訟を起こし、議会に働きかけ、スーパーボウルのCMでユダヤ人差別反対を訴えるべき?ユダヤ人を嫌悪するコミュニティとの対話を試み、もっとユダヤ人教育に投資するべき?こうした対策はすべて必要になのだろうが、それよりも大きなモラルの問題がある。我々は、ユダヤ人としての誇りを持ち続けるべきなのか、ユダヤ人としての誇りとは何なのか。
ユダヤ人に生まれたことは、私は何よりも幸運なことだと思っている。先祖から受けついだ知性、倫理、情緒はかけがえのないものであり、私の子供たちも自分の人生に活かしてゆくだろう。しかしユダヤ人であることは、憎悪や暴力を耐えるに値することなのか?
ユダヤ人の誇りを持って生きることは、同胞を守るという大義を見失わないこと、ユダヤ人国家の建設という複雑な一大プロジェクトを支持し、思慮深く批判はしても決して憎しみからの非難はしないことを意味する。ユダヤ人国家は不要とする考えは、民族絶滅の危機に瀕した過去を忘れてしまうことでもある。幻想から覚めたアメリカのユダヤ人は、離散の民として今後どう生きるべきなのか、考える必要に迫られている。
俺的コメント
「ユダヤ人差別には誰も同情してくれない」と断言されてますが、政治的に真ん中の北米人は、パレスチナに同情しながら、罪のない地元のユダヤ人への差別に憤っていますよ?パレスチナに寄り添うことが絶対でユダヤ人への同情が微塵も許されないのはサヨクワールドの話。そもそも、ホロコースト被害者への絶対的な同情を求めたユダヤ人は、被害者イコール正義というサヨク文化の成熟に加担してきたのではないですか?ホロコースト犠牲者(の子孫)の意志こそ至高という極論の成れの果てが殺戮マシーンと化したネタニヤフ政権じゃないの?そのへんに反省はないの?
「自分の最大の幸運はユダヤ人に生まれたこと」、その理由として「祖先から受け継いだ知性と倫理と情緒」が挙げられています。これは「優れた民族に生まれてよかった」っていうことですよね。それってどうよ?と思った人は他にもいるようで、「最大の幸運とは、どこの民族に生まれるかじゃなくて、愛情深く育ててくれる親の元に生まれることでしょう」とコメントしている人がいます。その反論として、「なぜユダヤ人だけが出自を誇ると叩かれるのか」というコメントが。いやだからユダヤ人だけ叩いてないってば。なんだろうこの筋金入りの被害者意識は?
寄付をやめるとかスーパーボウルのCMとか、金にあかせて自分のコミュニティだけを守ろうという発想が、なんか残念。そんなにお金があって知性に優れているなら、多民族の共存という難題のために金と頭を使って欲しいです。
