3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


私がレイシスト教授を恐れない理由

今日のピックアップNYT記事:Why a Racist Professor Doesn’t Scare Me

70年代にパキスタンから移民してきた両親の元、私はジョージア州コブ郡で生まれ育った。コブにはコンフェデレートフラッグ(人種差別の象徴)を堂々と掲げる白人もいれば、奴隷の子孫である黒人も、世界中からの移民も住んでいた。

コブは政治的に共和党地盤であり、2015年の時点で民主党の郡委員は、黒人女性のリサ・クピド氏一人しかいなかった。彼女が黒人であるという理由で警察に尾行された事件があったが、当時誰も警察を非難する人はいなかった。その後コブにも民主党支持が増え、クピド氏はいまや郡の委員長に出世した。コブのような保守的な土地でも、進歩は可能であるという証拠だ。

ペンシルベニア大学法学部のエイミー・ワックス教授は先週、黒人やアジア人学生への度重なる人種差別的な発言により、減給などの処分を受けた。「黒人の学生がトップの成績で卒業することは滅多にない」「白人の人口が多い方が国のためになる」「アジア人の胸には自由の精神が息づいていない」といったコメントが問題視されていたが、厳罰を求める左翼に私は賛成しない。コブで多様化の必然を見て育ったせいかもしれない。

ワックス教授の不適切な発言に対して、私は恐れよりも哀れみを感じる。71歳の彼女は、政治や社会の大きな変化に不安を感じるのだろう。住民の75%が共和党に投票するジョージア州でも、トランプ支持者がヒスパニック系のフェスを訪れ、黒人やアジア人のお笑い芸人のジョークを楽しんでいるのが現実だ。

かつて私たちは、移民や黒人の成功を妨げる存在として、ワックス教授のような人たちを敵視していた。しかし現在、差別的発言は私たちを押しつぶす力を失い、レイシストが何を言おうと私は自分の能力を疑ったりはしない。

ただし、すべての差別発言が平気だというわけではない。たとえばトランプとヴァンスの「ハイチ移民が犬猫を食べる」という恥を知らないデマ発言は別問題だ。移民政策を議論すること自体には何の問題もないが、権力者による弱者への誹謗中傷を許してはならない。

ネジが外れた学者の発言は、権力者のそれとは異なる。多様化を恐れる人々を私は不憫に思う。理解できない異文化に、自文化が飲み込まれてしまう恐怖に慄きながら暮らすのは辛いことだろう。

ワックス教授、安心して下さい。貴方がどれほど間違った発言をしていても、私は貴方の表現の自由を尊重します。(アジア人の)私の胸の中にも、自由の精神は強く息づいているのですから。

俺的コメント

化石教授が暴言を吐いても可哀想にと思うだけで屁でもないわ、というお話。年寄りの世迷言に人種差別ダーといちいち噛みついてんじゃねーよ、というサヨクの皆様に対するメッセージでもあります。

暴言先生を叩いて終わりではなく、自国の文化が乗っ取られていくのは怖いよね悲しいよね、とエンパシーがあるとこが良い。バリバリのサヨクならば、白人は原住民の国を乗っ取ったんだから因果応報じゃ!と説教を垂れるのでしょうけどね。日本を離れてウン十年、俺も移民として生活しておりますので、「白人の国が白人の国でなくなっていく脅威を感じる白人さんたち」の気持ちは想像つきます。

差別的な発言を「あーはいはい」といなせるようになってきたのは、多様性の社会が成熟してきたということでしょうか。もちろん差別との戦いは終わっていないのですが、アメリカの被差別者層に気持ちの余裕が出てきたのはめでたいことだ。トランプ「移民が犬猫食べる発言」については真面目に怒るべし、という主張は絶対タテマエだよな。あまりの低脳ぶりに全米が笑いましたよね?レイシストに対する「あーはいはい」レベルが一気にアップしたはず。



About Me

新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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