3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


汝を迫害する者を迫害せよ 福音派キリスト教徒の矛盾

今日のピックアップNYT記事:The Christian Persecution Narrative Rings Hollow

アメリカのキリスト教徒は迫害されている、という主張がある。今年の大統領選挙の結果次第では、クリスチャンへの弾圧が始まると信じている福音派は多い。

しかし現代アメリカのキリスト教徒は、歴史上の迫害被害者とは比べものにならない自由を享受している。福音派の勢力が強い州での性的マイノリティ攻撃立法、キリスト教的道徳と相容れない本の禁書措置などを見ても、キリスト教徒こそ敵対者の「迫害」を行なっているように見える。

アメリカ合衆国は憲法で信教と言論の自由を保障し、政教分離を原則とする。キリスト教をめぐる現在の文化戦争は、これまでの憲法解釈の齟齬がもたらした政治の歪みを反映している。

歴史的に見て、アメリカは政教分離を厳しく実践しない時期が長かった。建国以来、プロテスタント人口が事実上の覇権を握っていたが、60年代頃から国家による「宗教的な言論」を制限する動きが高まった。学校での祈りの時間や聖書の学習が廃止され、信徒の公的資金への平等アクセスが否定されるようになった。

こうした政教分離の試みは、行きすぎると信教の自由に抵触するようになる。私は94年に弁護士として活動を始めて以来、信仰を持つ人々が、信仰を持たない人々と平等に扱われるよう国に求める訴訟に関わってきた。最高裁も過去20年ほど、60年代から70年代の無宗教化の行き過ぎを是正する傾向にあり、信教の自由を支持している。

保守も革新も、司法としては「国家は教会を統治せず、教会は国家を統治しない」という均衡を達成したかに見えた。しかし信教の自由をめぐる文化戦争は止まなかった。なぜか?多くのアメリカ人は均衡を望んでおらず、「優位な立場」になりたいと願うからだ。福音派キリスト教徒はプロテスタントが覇権を握っていた昔に戻りたがり、無宗教の「進歩的」なアメリカ人は、国が教会に介入して無宗教イデオロギーに従わせるべきだと考えている。

この対立する両勢力が互いに向ける悪意と怒りは凄まじい。私は9年ほど前から自分が属する教会につまはじきにされるようになった。教会のメンバーとして、私は無宗教アメリカ人からの攻撃には何度もあってきた。しかし福音派組織の中で孤立して以来、無宗教派からの攻撃とは比べものにならないレベルの憎悪を受けることになった。そして私は気づいた、クリスチャンは正義の名の元に他人の人生を破壊する存在なのだと。

政敵を痛めつけるという行為において、保守的なキリスト教徒は受ける痛みよりも与える痛みの方がずっと大きい。信仰への敵意を嘆くキリスト教徒は、その悲しい現実に気づくべきだろう。

俺的コメント

筆者が教会で村八分にされた経緯はこちらの記事に詳しいです。トランプを批判したこと、エチオピアから黒人の子を養子にしたことを理由に強烈ないじめにあった様子が生々しく書かれています。

筆者がゲスト出演してるクリスチャン向けのポッドキャスト聴いてきました。NYTで記事書くとコメント欄でボコられるんですよ~と苦笑されていましたが、保守・革新両方の媒体で発信してエライなあ~、貴方様こそ真のエバンジェリストでございます。

そして今日の記事のコメント欄でも筆者は叩かれています。特に「公的資金への平等アクセス」のところに非難が集中。なんで俺が納めた税金を特定宗教の信者にくれてやらねばならぬ、という批判ね。だ~か~ら~、そこじゃなくて、まずはトランプに靡かず中立視点のコンサバクリッシャンがいらっしゃる事実を祝福せよ!!となりませんか?ならないからNYTなのか…

ポッドキャストの方は、アメリカのキリスト教徒が迫害されているという言説がいかに誇大妄想であり、歴史上実際に迫害されたキリスト教徒に失礼であるかを信徒向けに優しく諭す感じで、好感が持てました。アメリカのプロテスタント人口は不公平な既得権益を失っただけで、迫害はされていないと。でも今まで当然のように持っていたものを奪われると迫害されているような気分にはなりますよね、わかります、とエンパシーを持って傾聴する態度、無宗教左翼の皆さんも見習いなさい。



About Me

新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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