3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


キャベツの時代がやってきた

今日のピックアップNYT記事:The Coolest Menu Item at the Moment Is … Cabbage?

もし自分がキャベツだったら、ブランド戦略をもうちょっと考えなければ、と思う。

キャベツといえば炒め物か煮物、メインディッシュの付け合わせ、瓶詰めにされてサワークラウトなど、縁の下の力持ち的な立ち位置で世界の食生活を支えてきた。

しかし現在、19世紀の長屋を思わせるこの地味な野菜が、グルメ食材として注目されている。全国のシェフが工夫を凝らし、紫キャベツの麻婆豆腐ロール、キャベツのピリ辛パンケーキ、アンチョビとパン粉をまぶしたキャベツの炭焼き、キャベツのオランデーズソース添えなど、さまざまなキャベツ料理をメニューに加えている。

地場野菜が欠乏する冬の間、耐寒性のある野菜は貴重であり、これまでにも、ルッコラ、ケール、カリフラワーなどが順繰りに注目されてきた。安価で量が多く長持ちするキャベツが、外食産業の救世主としてブームになるのも頷ける。

ニューオーリンズのレストラン、「コケット」のシェフを務めるマイケル・ストルツフ氏のヒットメニューは、くし切りにしたキャベツの周りを焦がし、かぶのラビゴットソース合わせてパルメザンチーズをたっぷりとかけたもの。お値段は15ドル。食材予算が厳しい時代のレストランに、売れ筋商品として利益をもたらしている。スイス・ドイツ系のストルツフ氏は、現在のキャベツブームが訪れる前からのキャベツファンであり、「今までみんな私のキャベツ愛を笑っていたが、原価が一番安いキャベツ料理がうちの稼ぎ頭になった」と語る。

チリ出身のニューヨーク在住シェフ、ビクトリア・ブレイミーは、元々キャベツが嫌いだった。しかしイギリスでベーコンと一緒に柔らかく煮込んだキャベツに出会い、キャベツの魅力を再発見。キャベツをテリーヌを使ったり、シュー・ファルシ(ロールキャベツ)も作るようになった。最近では、ブルックリンのレストランでキャベツとタラバガニとバニラのマリアージュを提案、「キャベツも高級感溢れる一品にできる」と話している。

キャベツの歴史は長く、アメリカの移民も世代を超えてキャベツを食べ続けてきた。しかし、現在のキャベツ・ルネッサンスの発祥地ははっきりとしていない。誰が最初にキャベツブームに火をつけたのか特定はできないが、10年ほど前から、葉が薄く柔らかでローストしやすく、くし切りにすると見栄えのよい「アローヘッドキャベツ」の栽培が外食産業向けに始まっている。2018年には、炭火焼きキャベツを主役にアレンジを試みるシェフが続出。キャベツの林檎と菊芋添え+赤キャベツソース、胡桃のムハンマラとタヒニソース添えなど、さまざまな創作キャベツ料理が話題になった。

2019年の時点で、キャベツ・ルネッサンスはかなり進行しており、流行野菜として認識されている。パンデミックで外食産業における野菜消費は翳りを見せたが、発酵キャベツが新型コロナの予防になるという説が出回り、サワークラウトとキムチの消費は上昇した。

現在、キャベツ熱はこれまでになく高まっている。カリスマ農家として知られるリー・ジョーンズは「2024年はキャベツの年になる」と予測している。2017年からアローヘッドキャベツを栽培しているニューヨーク州のある農家は、2エーカーのキャベツ畑を6エーカーまで拡張することを検討している。

高級レストランのシェフたちはともかく、家庭料理ではどうなのだろう。キャベツを食べて育った人々にとって、この野菜は特に目新しいものではない。一皿18ドルのキャベツ料理を注文する客は大勢いる、というロサンゼルスのシェフも、「普通の人にとって、キャベツはジャガイモと同様つましさを連想する食材なので、外食時に真っ先に選ばれるものではない」と言っている。

アメリカ人が消費するキャベツの量は、今世紀に入ってから落ち込んでいる。一人当たりの消費量は、2000年の9ポンドから、2022年には6ポンドに減少した。調査によると、2023年に食料品店でキャベツを買った人の割合は3割ほど。キャベツを買うのは台所事情が厳しい世帯かといえば、そうではない。年収2万5千ドルの家庭よりも、年収10万ドルの家庭の方がキャベツの消費が多い。

ニューヨーク州で小さな農場を営むある夫婦は、パンデミック前はレストランにキャベツを卸していた。現在では多くのレストランがキャベツの仕入れを大手業者に乗り換えたので、一般消費者への売り込みを試みている。しかし、「キャベツはブームなのかと思っていたら、思っていたほど人気はない」ということだ。

俺的コメント

レストランの創作料理では最近キャベツがもてはやされ、一般家庭の食卓ではキャベツ熱はそれほど高まっていないと。なんかわかる~。

カナダに引っ越してきて初めてこちらのキャベツを見た時、筋トレに使うオモリかと思いました。とにかくみっしりと密度が高くて重い。大きさと形も陸上競技で投げる砲丸みたいな感じで、足の上に落としたら怪我しそう。全体的に白っぽく固くて大味、日本のキャベツとは似て非なる野菜。「(アメリカの)消費者は3割くらいしかキャベツを買わない」って、そんなに人気ないの?と驚かれるかもしれませんが、砲丸キャベツははっきり言ってあんまし美味しくないんだわ。粉砕(線切りではない)して、たっぷりマヨでコールスローにする以外に使い道がないと思っている人は多い。記事内でも「葉が薄くて柔らかいキャベツ」が新機軸として紹介されてますけど、キャベツって北米では「葉が厚くて硬い」ものなんですよ。

俺んちの近所では、この記事に出てきた「アローヘッドキャベツ」なるオサレなキャベツは見かけませんが、とりあえず「フラットキャベツ」という名で売っているキャベツは日本人が知っているキャベツに近く、美味しくいただけます…と、個人的に思っているのですが、家人には受けないキャベツ料理。ボルシチとかポトフとか喜んで食べるのは俺だけで、家族はみんな「キャベツ愛を笑う」タイプの北米人だった。

貧乏人こそ安くてカサの多いキャベツを積極的に食うべきである、とでも言いたげな世帯年収別キャベツの消費量の紹介がありましたが、(たかが)キャベツ料理に18ドル払える層によって作られたキャベツブームが北米庶民の食卓にも浸透するだろうか?俺は難しいと思う。キャベツ愛がある移民は、今も昔もキャベツを食べてるんだよ。それが3割組の俺たちだ!この記事に色々とおいしそうな創作キャベツ料理が出てきましたが、「食べてみたい」と思うのは昔からキャベツ萌えがある人ではないでしょうか。

キャベツを家畜の餌だと思っている一般的な北米庶民は、「キャベツのうんちゃらソース添え」的なグルメ路線では取り込めないと思う。ポテトチップスなみにジャンク化して依存性を誘発すれば望みアリかもだけど、キャベツと同じ「固くて不味い野菜」ファミリーのケールは、チップスにしても食べたくないという北米人、多し。

さて明日はキャベツステーキのタヒニソースかけでもやってみるか。えーーーやだーーーという家人の声が聞こえてくる。



About Me

新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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