3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


偉大な女性がモデルのチェロキーバービー、ダメ出しされた理由は?

今日のピックアップNYT記事:Mattel Has a New Cherokee Barbie. Not everybody Is Happy About It. 

バービー人形で知られる玩具大手マテル社は、チェロキー族初の女性首長を務めたウィルマ・マンキラー氏をモデルにした新しいバービーを発表した。マテルでは、「インスピレーションを与える女性」シリーズとして、著名な女性に似せたバービー人形を開発している。「ウィルマ」バービーは、チェロキーの人々に歓迎されたものの、一部で批判の声も聞かれている。

2010年に亡くなったマンキラー元首長の姿を元に、ターコイズのドレスを着てバスケットを持った黒髪のバービー。チェロキーネーションの現職首長チャック・ホスキン氏は、「よくできている」と評価した。しかし、チェロキーコミュニティの中では、バスケットがチェロキーのものとしては正しくない、と指摘されているという。

パッケージのチェロキー語にも問題が見つかった。チェロキーネーションの印章に使われた音節文字に誤りがあり、「チェロキーネーション」が「チキンネーション」になってしまっている。チェロキー語を知らない人にとっては何の問題もないが、故マンキラー氏を深く敬愛するチェロキーの人々にとって、部族の印章の誤植は、極めて残念な話だ。また、パッケージに記された部族名も、連邦政府が条約に使用している正式名称とは違うと指摘されている。

「誰かを責めるつもりはないが、パッケージの制作には、もっと注意を払って欲しかった」と、故人の友人であり、インディアンリソースセンター所長のパメラ・アイロン氏はコメントしている。

マテルは6ヶ月前にこの人形を企画したが、発表するまでにチェロキーネーションと直接やりとりをすることはなかった。ホスキン氏によると、マテルは批判を真摯に受け止めているという。

「問題点が指摘された後、マテルとは建設的な話し合いができた。マテルは我々への相談がなかったことを反省し、誠実な態度で接してくれた。」

マテルによると、マンキラー氏の業績を称えこれを記念すべく、人形の企画プロセス全体を通じて、故人の夫であるチャーリー・ソープ氏はじめ、遺族との対話を重ねてきたという。また、人形をデザインするにあたり、故人の友人からの協力も得たという。

1945年生まれのマンキラー氏は、1985年から1995年までチェロキーネーションの首長を務めた。原住民のための活動家として知られ、首長選挙に立候補した際には、女性であるという理由で、猛反対にあったという。首長に就任後は、教育、住宅問題、医療、女性の権利拡大に取り組み、1998年に文民に贈られる最高位の勲章「大統領自由勲章」を授与されている。

自身もチェロキーである夫のソープ氏は、チェロキーネーションのマンキラー記念イベントで、人形が故人にあまり似ていないという指摘があったことに言及している。ただし、「ウィルマをモデルに人形を作ることに、本人は賛成してくれたと思う。多少言いたいことはあったかもしれないが、喜んでくれたはず」と語っている。

故人と親しかった別の友人は、「批判もあるが、このバービーにはインパクトがある。子供たちが、原住民のバービーと遊べることは喜ばしい」と述べている。

俺的コメント

チェロキー族初の女性酋長をバービー人形に!こりゃまた物議を醸しそうな話題じゃないかと思いましたが、なーんだ、「考証がなってない」ってことですか。バスケットや印章が「なんちゃってチェロキー」だったと。ビックリしたのは「本人にあまり似てない」というコメント。バービー人形にする時点で、本人に似てるかどうかって重要なの??

なんかもっとこう、先住民の英雄をアメリカ商業主義に利用させるとはけしからん、精神的植民地支配だ!とか、イヤこれぞネイティブアメリカン文化とメインストリーム文化のあるべき融合の姿であるとか、先住民の間で意見が真っ二つに割れました、みたいなのを期待してたんですが。この「騒がれなさ」を誰か分析してくれないでしょうか。記者さんのツッコミが足りないだけ?

恥をかいたのは開発元マテルより、「人形の企画プロセス全体を通じてマテルに協力した」という故人の旦那とお友達ですな。この方達は、考証を担当したわけじゃないんでしょうけど、えっ、チェロキーなのに間違いに気づかなかったの?となりますよね。一般的な日本人が皇室の菊の御紋の花びらの数を知っているか、みたいな話なのかもしれませんが。I don’t do dolls 「自分は人形のことなんか、よく知らんですよ」と、腰が引け気味のやもめ旦那、記者さんの取材には応じなかったそうで。

「誠実な対応」のマテル、あのバービー映画に出てきたマテルですよ。あいかわらず、広報がお見事であることよ。アメリカ人が制作する日本の時代劇などを見ますと、考証がめちゃくちゃで爆笑しますが、なんちゃってチェロキーをやらかすとは、いかにもアメリカの会社らしいマテル。抜けてるくせに事故処理は丁寧にやります感があざといのう。



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新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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