今日のピックアップNYT記事:This Is What My Belly Looks Like
俺的記事まとめ
クロアチアを旅行したときのこと。現地人のツアーガイドさんに「妊娠していますか」と尋ねられた。咄嗟に英語を間違えたのかなと思い、「ごめんなさい、もう一回言って?」と聞き返した。
ガイドさんは言い換えを試みた。「おめでたですか?」
私は多分、5回くらい(もしかしたら15回くらい)”No”を繰り返したと思う。ガイドさんは慌てふためき、何度も謝罪したあげく、「本当にごめんなさい!私は普段、こんな失礼なことを言う人間じゃないんですよ…」ときた。
あーそう、じゃあ私が妊婦だと、疑いの余地はまったくなかったと?
言われなくてもわかっている。私のお腹は見事にアルファベットの「C」の形をしており、ビーチで水着になったりすると、「あのお腹、見た?」とヒソヒソ話のネタにされるのだ。
そういうわけで、海に行くと私はいつもタオルで腹部を隠し、誰かがスマホで写真を撮る時には、絶妙のタイミングで息を吸い込み、お腹をひっこめる術を身につけた。
クロアチアでは、はからずも第三者によって「私はデバラである」ということが証明されたわけだが、私のお腹まわりは、別に異常でもなんでもなく、珍奇なものとして注目される謂れはない。たとえば、人類の体を調査するために、宇宙人が地球に派遣されたとする。彼らが地球人腹部の最もアブノーマルな標本を選べと言われたら、「何の贅肉もない、まったいらな腹」を選ぶはずだ。
私たちは、腹回りを憎悪と恐怖の対象とする不思議な社会に生きている。ニュースで健康問題が取り上げられるとき、カメラが焦点を当てるのは「突き出たお腹」であり、お絵かき中の子供ですら、太った人を描いて、といえば棒人間の腹部を強調してくれる。ジムシャークのインスタで、モデルが「ソフトなお腹」を披露したところ、コメント欄には「気持ち悪い」「そんなもの見せるな」というコメントが相次いだ。
近年、「ポジティブなボディイメージ」を推進する運動が進み、ふくよかサイズのモデルもよく見かけるようになった。しかし、業界でも人気のぽっちゃりモデルたちが語ったところによると、モデルエージェンシーが求めているのは、ぽっちゃりでもウエストは締まっている、いわゆる「砂時計型」の体型なのだという。ボディポジティブへの道のりは、まだまだ遠いということだ。
腹回りに脂肪を貯蔵してはいるが、私は「プラスサイズ」ではない。スリムなスーパーモデルが「食べ過ぎてお腹がポッコリ」な写真を投稿したり、「勇気を出して二段腹を公開します!」と、あるかなきかの脇肉をつまんでいるインフルエンサーの写真を見たりするたびに、ケッと思う。
あんたのデバラなんか、わざわざ記事にするほどのこと?と読者は笑うかもしれない。しかし、摂食障害を克服した人間として、現代人の「腹回りを見る視線」がいかに歪んでいるかを、指摘するのは重要なことだと思う。ルネッサンス絵画に描かれた裸婦の豊かな腹回りを見て、「ふつうに美しい」と思う現代人は稀だろう。こと腹回りに関する限り、私たちは集団醜形恐怖症にかかっており、「平均的な人間の腹まわり」の現実に対して、盲目になっている。
あるがままの腹を「美しい」と思えとまではいわない。ふつうの腹をふつうとして受け入れること、それがなぜできないのだ?「腹はぷよぷよしていて当たり前」という感覚が一般的になったとして、それで世の中が劇的に変わるわけではないだろう。しかし、大部分の女性は、自らの腹回りとの極めて不毛な戦いから解放されるはずだ。
私の友達は、カーディBが下腹を突き出してみせたインスタ投稿を思い出すたびに、クッキーに手を伸ばすという。TikTokにはapronbelly(エプロン腹)というハッシュタグがあり、垂れ下がった腹をブルブルいわせている動画は8千万回も閲覧されている。ふつうの腹をふつうに受け入れている「急進的な人々」の動画は、私に勇気をを与えてくれる。
他人が私の腹を見るとき、どう思うか。「あんな腹でなくてよかった」と思う人もいれば、「あんな腹になりたい」と思う人も少しはいるはずだ。しかし、大部分の人は、「あの人はああいう腹なのね」と視認するにすぎない。そう考えるだけでも、私は大いに慰められる。誰もがSNSにエプロン腹を公開する急進派にはなれなくとも、腹回りに対するメインストリームの視線は、病んでいることに気づこうはないか。
俺的コメント
こう言ってはなんですが、エプロン腹が「ふつう」なのは北米人限定じゃないですかねえ?ヨーロッパの方に妊婦さんと間違われるのは、「あるある」ではないかと。しかし、アメリカ人観光客に「おめでたですか」と言っちゃうガイドも、修行が足りねえよ。
俺んちには、宇宙人が奇形に分類するであろう「まったいらな締まった腹」を持つ若い娘が二人もいて、ヘソだして見せびらかしまくり、この世の春を謳歌している。こいつらもあと30年もすれば腹肉がベルトに乗るんだぜ。「驕れる者は久しからず ただ春の夢のごとし。」親を琵琶法師な気分にさせてくれるわ。
段々腹の間に湿疹ができるレベルのエプロン腹(医学用語 pannus stomach)が「ふつう」かどうかはおいといて、腹回りの認知機能が狂っている、という説は正鵠を得ていますね。日本人も同様。アメリカ人から見たら、まさに「あるかなきかの贅肉」でも日本ではデブ認定されるじゃないですか。
記事内「タオルで(水着の)腹を隠す」記述がありましたが、原文はbikini bottomです。つまり、この方はクロアチアで妊婦に間違われるような腹でも、ビキニを着ているんですよ。アメリカのデバラ解放は、この記者さんが思っているよりも進んでいると思う。日本人も見習うべき。
