3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


MAGAがウクライナ支援に反対する理由

今日のピックアップNYT記事:Why MAGA Wants to Betray Ukraine

MAGA =  Make America Great Again = トランプ元大統領支持層のこと。

先週末、一時的にではあるが、連邦政府が閉鎖される事態は何とか回避された。下院議長のケビン・マッカーシーは、ウクライナ支援を外した「つなぎ予算」を提出し、民主党は、ウクライナ支援については別の予算案がいずれ議論されるという期待からか、この案に同意した。

ウクライナ支援に反対する右翼強硬派は、「支援額が多すぎる」ゆえに反対していると主張しているが、純粋に財政的な見地からウクライナ支援を憂慮しているのなら、はっきりと数字で示すべきだろう。ウクライナ支援のせいで社会保障が崩壊する、国境警備が不可能になる、米国GDPの4割がウクライナに流れている、といった言説の根拠を示して欲しいものだが、もちろんそんな努力はしないのが、MAGAらしいところだ。

実際、米国はウクライナ支援にどれほどの費用をかけているのか?ロシアの侵攻が始まってから18ヶ月の間に7700万ドルが使われている。これは一見、多大な支出に見えるかもしれない。米国が通常の外国援助に割り当てる予算に比べたら、確かに大きな額ではある。しかし、国の総支出は現在年間6兆ドル、すなわち18ヶ月で9兆ドル。つまりウクライナへの支援額は国家予算の1パーセント以下、GDPの0.3パーセント以下である。そのうち軍事支援が占める割合は、米国防衛費の5パーセント以下である。

また、米国はウクライナ支援を単独で担っているわけではない。ドナルド・トランプはかつて、欧州諸国は自分たちの国防に十分な予算をかけていないと批判した。しかし、ウクライナに関して言えば、欧州諸国の支援は米国のそれよりも大きい。GDP比において、英仏独はアメリカに勝る貢献をしている。

ウクライナ支援のコストに戻ろう。前述のように、国家予算に占める割合は少なく、「ウクライナ支援を行うと、国境警備などの必要なことが出来なくなる」というMAGAの主張は意味を成さない。MAGAは数字に弱い、あるいは数字はどうでもいいと思っている節があるが、金がかかりすぎるからウクライナ支援に反対、と本気で言っているとは思えない。

苦境に立たされている民主主義国を支援するメリットは非常に大きい。この戦争が始まる前、米国民の大部分は、ロシアを軍事大国と認識し、脅威であると感じていた。ウクライナの予想外の健闘は、ロシアの慢心をくじき、民主主義とはそう簡単に転覆できるものではないと世界に知らしめた。ロシアの苦戦は、侵略戦争を目論む他の国を躊躇させたはず。たとえば、中国に台湾侵攻を思いとどまらせたのではないだろうか。

かつて共和党員も使っていた「自由主義世界」という言葉は死語になりつつあった。ウクライナ支援をきっかけに「自由主義世界」が結束を固め、存在意義が問われていたNATOは、真価を発揮して加盟国を増やし、西側の兵器はその有効性を証明した。

米国がイラクとアフガニスタンに費やした額に比べたら、ごく僅かな予算をウクライナに向けただけで、これだけの見返りがあったのだ。忘れないでもらいたいが、実際に戦いで血を流しているのは米国人ではなくウクライナの人々だ。ではなぜ、MAGA政治家はウクライナを切り捨てたがるのか?

その答えは、残念ながら明白だ。共和党強硬派がどんな言葉で誤魔化そうと、彼らの本音は、プーチンに勝って欲しいのだ。彼らは、プーチンの残忍さと抑圧ぶりは、羨むべきものであり、米国もかくあらねばならない、と思っている。自国ではトランプのような「ワナビー独裁者」を支持し、外国にいる実際の独裁者に共感する、それがMAGAの正体だ。

俺的コメント

コメント欄にて、最後のパラグラフが拍手喝采されています。先日の記事に、保守政治家が「敵対政党を悪の権化だと罵る」話が出てきましたが、これはその逆バージョンだな?

話が通じない相手とも話し合わなければならない民主主義、そりゃ疲れるしキーっとなる気持ちもわかりますよ。しかしながら、「MAGAは残忍で抑圧的な独裁者がアメリカを支配すべきであると思っている」という結論は、俺的には「あーあ」と思ったわ、なんで陰謀論者と同じナラティブに落ち着くかな、と。罵るよりも、徹底的に笑ってやったらどうか。

記事の中に、ウクライナ支援が米国GDPの4割っていうデマを流した自称インテリMAGAのツイートにリンクが貼ってあるのですが、かなり笑えます。原文は At least 40% last time I checked つまり、自分は「チェックした」と。いったい何をチェックしてきたんだべ?MAGA系の人って、よく「ちゃんと自分でソースを調べて真実を知ろう」って言うらしいですね。この人たちの手にかかると、どんな突拍子もないデマだろうと、「俺がちゃんとチェックした真実」になっちゃうからすごい。40%ではありません、正しくは0.3%です、と言ったところで「俺がちゃんとチェックしたけど、0.3%はフェイク」と来るでしょうから、カエルのツラにお小水。

ここまで話が通じなくなると、なんか旧約聖書の話を思い出しますね、神様が多言語を導入して人間同士の言葉が通じなくなるようにしたっていうアレ。アメリカの天下統一とは即ちバベルの塔の建設(=絶対に無理)みたいなものなんでしょうか。



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新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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