今日のピックアップNYT記事:Can A.I. Invent?
俺的記事まとめ
人気のチャットボット、ChatGPTの原動力でもあるジェネレーティブAI技術。料理レシピから旅行プラン、コンピュータープログラム、新薬の分子構造まで、あらゆるものを生成することができる。しかし、AIが「発明」することは可能なのだろうか?
英国サリー大学法学部ライアン・アボット教授は、世界中の十数か国において、AIが生成した「発明」の特許出願を試みる実験を行った。この発明は、フラクタル図形を応用して熱伝導を改善し、保温容器とは反対に熱を逃す飲料容器だ。例えば、アイスティーを短時間で作るなどの用途が考えられる。南アフリカでは特許が認められ、中国を含む多くの国では、まだ判断が下されていない。アメリカ、オーストラリア、台湾では、出願が却下された。
実験の目的は、AIと発明についての議論を深めることだ。AIによる発明は、特許で保護しなければ公開されず、企業秘密という沼に埋もれてしまい、その分野の進歩を妨げてしまうとアボット教授は主張する。
AIは、これまで発明に使われてきたツール、たとえば「鉛筆」や「顕微鏡」とは全く異なる。新しいコンピュータープログラムであるAIは、特定のタスクを行うように設計されたものではなく、予想しなかった結果を生み出す。つまり、創造的に、人の立場になって動くことができるとアボット教授は言う。
この飲料容器を「発明」したAIは、シンプルなアイデアや概念を複雑に組み合わせ、ポジティブな結果を出すように繰り返し訓練された。一般的な知識を元に訓練され、容器の設計については何の訓練も受けておらず、容器を設計せよと命令されたわけでもない。飲料容器としては持ちにくく飲みにくく、商用化するには未熟なものだが、全く人間の制御がない状態でAIが生み出した新機軸には変わりない。
アメリカの特許局は、少なくとも現在の基準では、「発明者」とは人間でなければならない、としている。連邦控訴裁判所でも却下の判断が支持され、最高裁は審理を拒否している。ハーバード大学法学部の教授らは、今後人命を救うかもしれない発明の知財保護を否定し、AIへの投資を脅かすものとして、司法の判断を批判している。
将来的には、AIシステムが「共同発明者」のステータスを得る可能性はある。企業が知的財産の所有者として特許を取得する際、発明者として社員が名を連ねるように、AIを「パートナー」と認めることで落ち着くかもしれない。
アボット教授の実験に使われたAIを開発したセイラー博士は、このAIには、人間の感情や感覚に相当する働きがあるという。有用なアイデアを認識すると、「神経伝達物質」をシミュレートする「デジタルな興奮状態」になり、最も役立つアイデアだけが生き残る「成熟プロセス」を発動する。創造力を持った機械を発明者として認めないのは、セイラー博士にとっては種差別に等しいという。
差別かどうかは、知的財産の法律的な問題とは無関係である、とアボット教授。しかし、AIの発明力が今後ますます進化することは明白であり、AIによる発明の法的なステータスの問題は、早急な解決が求められる。
俺的コメント
別の記事で、AIの訓練に著作権コンテンツを無断で使われたとかで、ChatGPTの開発元が訴えられたニュースがありました。AIまわりの知財の問題は、今後も色々と出てくるのでしょう。
先月、高校の卒業式に出席しました。校長先生のスピーチの、なんとまあ平凡だったこと。これは絶対に、「高校時代とコロナ期が重なった卒業生に贈る言葉」をChatGPTに書いてもらったに違いない、と思いましたね。いやもちろん、一言一句ご自分で考えられたのかもしれないですよ?機械に頼っても自分で書いてもこんなに平凡な出来なら、まあ機械でいいかって感じですかね(言いたい放題)。
2人の卒業生代表によるスピーチもありました。一人は成績最優秀、もう一人は生徒の人気投票で選ばれたそうです。この人気投票で選ばれた生徒のスピーチが、今時の子らしくハッシュタグやらポップカルチャーの引用やらを盛った「面白いスピーチ」だったのです。それがなんと、「卒業生代表ベストスピーチ」で検索すると出てくる動画のほぼ全文パクリだったことが判明。オリジナルのスピーチ自体は10年ほど前のもので、当時の流行歌など時代遅れの部分だけ差し替えていたと。
機械っぽいスピーチと盗作スピーチ。なんちゅーか、時代を象徴する卒業式であったことよ。校長の話がつまらないのは昔からよくある話としても、ChatGPTで作ったな?と思わせる芸がないスピーチをした校長の元から、昔ながらの黒長装束にフサ付き菱餅帽子という誇り高い学徒の正装で、壇上から盗作コンテンツを堂々と披露する生徒総代が巣立ったという。
今日の記事によると、発明までAIに抜かれそうということね?もうええよ、発明者のステータスだろうと特許だろうと著作権だろうと、なんでも、AIにくれてあげなさい。人間の出る幕ではございませんの世の中、創造力と単純作業でメシを食ってきた俺たちを埋葬してやってくれ。
