今日のピックアップNYT記事:As Sunak Tries to Move Ahead, He’s Haunted by Prime Ministers Past
俺的記事まとめ:
混乱が続くイギリスの内政。就任から100日を超えたリシ・スナク首相は、保守党政府の立て直しを目指し、閣僚人事の刷新と新省庁の開設を行った。インフレ抑制、医療危機救済、経済活性化などに向けて前進したいスナク首相だが、党内の支持は盤石とはいえない。消去法で首相になったいう事情もあり、虎のシッポを踏まないようにと慎重な閣僚・省庁再編に努める中、二匹の虎に前途を阻まれかねない状況になっている。他でもない二人の元首相、リズ・トラス氏とボリス・ジョンソン氏だ。
例えばウクライナ問題。スナク首相と米バイデン大統領は、ウクライナに戦闘機など重兵器を供与しないことで合意していた。にもかかわらず、ジョンソン元首相は、先週の訪米時に、ウクライナへの重兵器提供をバイデン大統領に強く要請している。トラス氏はといえば、この週末、長文の自己弁護エッセイをテレグラフ誌に掲載、自らの退陣の原因となった減税政策を擁護している。経済活性化に関して、これといった戦略がないスナク首相にとっては、目の下のたんこぶというところだろう。
テクノロジー、科学、エネルギー関係の省庁新設は、英国をシリコンバレー化したいスナク首相らしく、まっとうな論拠があってのことだ。更迭・降格ではなく新しい風を入れる人事には、右派を納得させる要素もある。しかし、今そこにある社会不安はあまりにも大きく、「船が沈みかけている時にデッキチェアの並べ替えをしているようなもの」という批判もある。5月の地方選挙の結果によっては、再び党内クーデーターの噂が囁かれることになるかもしれない。
俺的コメント:
イギリスたいへんそうですよね。この記事によると、ストライキで国の機能が麻痺した1978年から79年「不満の冬」の再来だそうです。そういえば、インスタでフォローしているUKのショップのオーナーさんが、「郵便ストライキで商品が発送できないんです、本当にごめんなさい」と毎日のように謝っていらっしゃいました。お察し致します。
イギリスの社会不安といえば、あの映画を思い出します、「ビリー・エリオット」。炭鉱労働者ストライキ中のクリスマス、お母さんの形見のピアノを叩き壊して燃やして暖を取るという、なんとも悲しい場面がありました。
今すぐ救われたい国民に、長期的なビジョンを説くのは、そりゃ難しいことでしょう。プラス、失脚したはずの前任者が再浮上を虎視眈々と狙っているようでは、前途多難ですな。
