3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


肥満は自己責任にあらず

今日のピックアップNYT記事:Scientists Don’t Agree on What Causes Obesity, but They Know What Doesn’t

俺的記事まとめ:

米国の成人の肥満率は40%にのぼる。米国に限らず、肥満人口の増加は世界中で問題となっている。何が世界の肥満化を引き起こしているのか、英国のとある肥満学会で議論が交わされた。さまざまな考察が発表されたが、「これこそが肥満化の原因である」と研究者たちが合意する見解はなかった。ただし、「これが原因ではない」という合意はあった。それは、「個人の自己管理の悪さが肥満を引き起こしているのではない」ということだ。

世界の肥満化が始まったのは、1980年代。この辺りから人類が怠惰になったとか、短期間に遺伝子が変異してヒトが巨大化したと考える研究者はいない。ひとつ考えられるのは、食糧の変化である。大量生産と流通の過程で、過剰な加工処理が施される現代人の食糧は、農薬や添加物にまみれ、さまざまな毒が人間の代謝を鈍らせていると、ある研究者は考えている。別の研究者は、加工食品に含まれる炭水化物と脂肪がタンパク質を薄め、これを補うためにヒトはさらに多くの炭水化物と脂肪を欲すると論じている。また、貧しい社会ほど肥満が多いという現代の矛盾を、「動物はカロリーが不足すると食糧危機を感知し脂肪を溜め込む」という現象に比して説明する研究者もいる。

カロリー過多にならないよう食事を摂り、適度な運動を取り入れるべし。世界的な肥満増加は、もはや、そんなありきたりの生活指導で食い止められる現象ではない。子供をターゲットにしたジャンクフード広告の禁止など、政治的な対応は始まってはいるものの、一般的には「太るのは自己管理のマズさの結果」という考え方が、深く根付いている。肥満を自己責任として扱う限り、グローバルな肥満化は改善されず、人々はいつまでもダイエット産業に膨大なカネを注ぎ込み続けるであろう。

俺的コメント:

つまり、世界的に肥満が増えているのは、肥満を招く食糧しか手に入らないからなのです。

もちろん太らない人もいますよ?肥満大国アメリカで太っていない人は、ジム行ったりバランス良い食事をしたりしているわけですが、じゃあ結局自己管理じゃん?と思われるかもしれません。違います。肥満社会で肥満にならない人は、意識高いか、肥満を防ぐために使える金を持っているかのどちらかです。意識高いか金持ってないと肥満を避けられないっつのーは、これはもう自己責任じゃないの、社会が悪いの。自制心のないデブ見るとイラッとする、あたしは努力して体型キープしてるっていう人は、そこらへん、勘違いしないでほしい。努力できるだけの金と意識とヒマがあってラッキーなんだよ、おまいらは。

子供の肥満についてのNYTの別記事を読むと、もっとわかりやすい。生活苦のシングルマザーが、子供に1ドルショップのラーメンばかり食べさせているとする。その子が肥満だったら、母親の責任なのか。激安のジャンクフードしか買えない貧困層の母に、自然食品を食べさせろとか、子供に運動系の習い事をさせろとか、そんなアドバイスをしても、何の意味もない。

件の肥満学会に出席した著者は、研究者たちが「肥満」を「栄養失調」と同じように捉えていると指摘していて、面白い。貧しくて栄養失調になる人が増えれば社会問題と捉えられても、貧しくて肥満になっても自業自得だと思われてしまう。それじゃダメというお話。



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新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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