3分で読めるNYタイムズ記事まとめ

俺的アンテナに引っかかったニューヨークタイムズの面白記事を、個人的な感想と共に日本語で紹介しています。記事翻訳ではありません!


グッバイ、ボーイング747。良くも悪くも、世界を変えた空の女王

今日のピックアップNYT記事:Bon Voyage, Boeing 747. You Really Did Change Everything.

俺的記事まとめ

1960年代の半ば。のちに航空界を変えるボーイング747の歴史は、アラスカで釣りを楽しんでいた二人連れの、こんな会話で始まった。

パンナム航空社長は、ボーイング社長にこう持ちかけた。
「開発するなら、買ってやるよ。」
ボーイング社長は、パンナム航空社長にこう返した。
「買うなら、開発してやるよ。」

かくして契約は成立し、わずか3年後に最初のボーイング747が納入される。747は従来の旅客機の3倍の収容力を誇り、ユニークな二層構造で貨物機としても大きな成功を収めることになる。そのあまりの大きさと重量に、当時のパイロットたちは、本当にこいつは飛ぶのかと訝しんだが、747は飛んだ。その歴史を通じ、実に月まで14万4千回往復するに等しい距離を飛んだのである。そして誕生から53年を経た今年、1547機目である最後のボーイング747が飛び立った。

ボーイング747の功績は、飛行機旅行の大衆化を実現したことである。もちろん、747以前にもジェット機での旅は始まっていたが、何千万という庶民が気軽に海外旅行に行ける時代を作り上げたのは747である。世界の人々を隔てる距離は縮まり、さまざまなモノが地球の隅々まで短時間で運ばれ、地球社会のありようは一変した。流通や移動の自由が途方もなく広がった一方で、ウィルスは軽々と国境を超え、環境破壊は進み、旅客機は改めてその存在意義を問われている。

今、環境のために一人一人ができることとして、「飛行機に乗らないこと」が挙げられている。これから先、安価で速くて安全なだけでなく、地球にやさしい旅客機を作ることは可能なのだろうか。アラスカでの伝説の会話「買うなら開発してやるよ」から、わずか3年で世界を変える空の女王を作り上げた航空工学。その叡智を、エコな航空機の開発に活かせないものだろうか。

俺的コメント

宮崎アニメ「風立ちぬ」を思い起こす内容ですな。飛行機とは、ただ純粋に夢とロマンの象徴だったはず。それがいつのまにか、人間に災いをなす存在に(詠嘆)。昭和のド田舎で育った俺にとっても、飛行機は夢の乗り物だった。いつか飛行機に乗るような人間になってやる!と、新潟上空のヒコーキ雲を眺めながら大志を抱いていたわけよ。

時は流れ、留学だ海外出張だと、実際に「飛行機に乗るような人間」になりはしましたが、自分が環境破壊犯世代に属していた事実に狼狽し、思わずグレタさんごめんなさいと空に向かって呟く俺。

昨年夏、俺は3年ぶりに飛行機に乗って、とても遠い美しいところに行った。遠いところは遠いというだけで美しく、そこに行きたいという想いをかきたてる。英語にwander thirstという言葉があって、人間の旅したい欲は、thirst(渇望) という表現にふさわしい。何億という人間のwander thirstを満たしたジャンボジェット機が、夢とロマンと引き換えに地球をボロボロにした。

それはそれは美しい最果ての地でな、飛行機にのってこんなとこ来ちゃいけないと思う俺と、人生短いんだから旅行したいじゃないですかと思う俺が、葛藤していた。



About Me

新潟出身、カナダ在住。英語 -> 日本語 クリエイティブコンテンツ周辺のお仕事を請け負っています。

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